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「ナイロビの蜂」

「ラダック」シンポジウムの後に、「ナイロビの蜂」という映画を鑑賞しました。

私は、国際協力研究科に籍を置き、国際協力について研究をしてきました。国連の教育開発の変遷をたどりながら、現在はカンボジアの教育開発を研究しています。また、実際にカンボジアに何度も足を運んで、カンボジアのノンフォーマル教育支援にも携わってきました。その中で、国連主導、日本政府主導(ODA)の開発と草の根で活動するNGOの活動のギャップも痛いほど感じました。

また、多くの疑問や矛盾を抱いてきました。世界は、富を得たい人が富を得られやすい、富がない人は富を得るアクセスすら持ち得ないシステムになっているじゃないか。本当に支援が必要な人たちに、本当に必要な支援が行き届いているのだろうか。この一分一秒の間に、世界中で飢えや貧困、戦争で尊い命を奪われるという現状の中、私たちに何ができるのか。そこに国益や利益が追随する支援活動がその後どういう影響を及ぼすのだろうか。と・・。

この映画は、はっきりいってラブストーリーです。ですが、その背景に、海外援助というテーマを通して、「動」と「静」、「グローバル社会」と「ローカル社会」、「善」と「悪」、「人道」と「利益」などの対比が描かれています。

映画のワンシーンで、体調の良くない奥さんを病院から家に車で送り届ける夫に、彼女は訴えます。40キロ先の自宅まで、亡くなった姉の生んだ赤ん坊を抱いて帰路に着く母と幼い弟を送り届けたい!と。外交官の夫は、「今、私が救わなければならないのは、この国の国民だ」と。彼女は、「だけど、今目の前にいるこの二人を救うことができるわ!」と。結局、夫は、「今救わなければならないのは、君だ」と、車を発進させます。目の前の「困っている2人」を救おうとする妻と、「困っている国民」と「妻」を救おうとする夫。

海外ボランティアをするにあたって、「『誰』を救おうとしているのか?!」を意識する必要があります。援助の世界では、「対象は誰なのか?」ということ。大きなお金が動くとき、その対象は、援助対象国の国民や、少数民族、女性や子どもであることが多いのですが、「費用対効果」を常に意識した支援が行われます(その割には、批判の対象になるような支援も少なくありませんが)。お金が国民の税金で支払われている支援である以上、国益に繋がる支援であることは現在の世界では仕方がないのかもしれません。ですが、人と人として接する時には、そういう時だからこそ、目の前の人を助けることって自然なことですよね。そういう気持ち、忘れたくないと私は思います。

ストーリーの中で、この妻は製薬会社の薬品開発にケニヤの国民が犠牲になっているという事実を突き止めます。(まだ、映画を見られていなかった方、ごめんなさい。)こういったことは、知られていませんが、現実にあることです。第一世界が第三世界を搾取しているという事実。私たちのライフスタイルによって、途上国の人々の生活を苦しめているという事実。世界はグローバル化し、依存度がどんどん高まってきています。そして、その多くが、先進国にとって利益を生むというシステムが経済や政治という名の下で正当化されている現状があります。

「世の中やっぱりお金か…」と現在の経済の流れをみて、思うことが多々あります。「お金」のために、弱い人たちが犠牲になるという事実が実際に多々あるからです。世界的に有名な企業がチャイルドレイバー(児童労働)を強いていた事実、南の国の人たちを治験に使うという事実、北の国に輸出するための農作物を育てている南の人たちが食べられなくて死んでいくという事実。

先日のヘレナさんのシンポジウムに参加して、彼女が訴えていたこと。「世の中の経済の流れを知ること、理解すること」。誰かが言っていました、「知ることがボランティアの始まりだ」と。日本国民として、地球号の一人の乗組員として、そして、コンシューマー(消費者)として、買い物一つでも、行動一つにでも、責任を持った人間になれるように、世界をもっともっと知りたいと願うばかりです。

開発やボランティアに興味があるという方は是非見てください。そして、ご感想をお聞かせいただければうれしく思います。

コメント (1)

H Akiyoshi:

「ナイロビの蜂」の紹介ありがとうございました。ぜひ見たい映画ですね。

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2006年5月21日 18:30に投稿されたエントリのページです。

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