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2009年1月 アーカイブ

2009年1月17日

学生紹介

 城条洋子さんは家庭教育課程の学生である。本学に入学したきっかけは、民生委員児童委員の仕事を委託され、対象者を援助しようと思った時、いかに自分が無知であるかを思い知らされ、勉強しようと決意したからであるという。また、ライフワークとしてタイ北部への教育支援、児童搾取防止援助、山岳民族の子どもへの食育支援等をしていらっしゃる。
 性格は明朗・活発で、人の面倒を一生懸命にみる、信頼できる方である。
 以下に城条さんからのメールを紹介しよう。

 「民生委員になって今年で14年目になります。その中で忘れられない私の原点になっている2点をお話します。一つはひとり暮らしの老人ですが、認知症が激しくなったと感じていた時、見守りをしていたのですが、夕方買い物に一人で出かけたまま自宅に戻らないということがありました。この老人は自宅とは反対の方向に帰り、自宅と同じ距離位歩いたよその家の庭に入り、凍死してしまったのです。一晩中、近くを行政の人、消防署・警察の方と探したのですが、分からず、二日後にその家の方から警察通報で判明しました。本当に最期を気の毒なことをしたと思っています。
 もう1点は、親権の力で児童を救えなかったということで、今でも気にかかっている子どもがいますが、私でも法でも救えないことをまざまざと見せ付けられました。子どもは親を選べませんが、残酷な事件がある度に親を選んでもよいのではと思います。
 しかしこの事件があったために、私は学習することに目覚めたのです。いろいろな家庭を見ていますと、子どもは皆純粋ですが、家庭教育によっていかようにも変化してしまうという現実と向き合っています。これからもこの現実を受け止め、微力ながら子どもの支援をしていければよいと思います。
 また月1回、学校の放課後を利用して、子ども達とゲームをしたり、工作をしたり、お菓子を作ったりと2時間楽しく過ごしています。子ども達とじかに触れ合うことで若いエネルギーをもらっています。」
 城条さん、これからもお元気でご活躍下さい。

2009年1月29日

ドイツ教育研究会

 昨年12月13日、本学の学生1名を連れてドイツ教育研究会(略称ド研)に出席した。筑波大学名誉教授天野正治博士の指導のもとに、ド研は今も継続している。私が入会したのは1980年である。天野先生は当時、国立教育研究所室長でいらっしゃった。
 この日は学芸大学の伊藤亜希子先生と桜美林大学の潮木守一先生が発表された。
 伊藤先生は「多文化社会ドイツにおけるAnne Frank Zentrum の教育的役割ードイツ調査旅行報告ー」を発表された。概要はAnne Frank Zentrum について、目的、活動内容等であった。Annne Frank Organizations の一つであるAnnne Frank House Amsterdamを私も1984年に訪れたことがあった。夏休みだったので、若者が大勢見学していた。彼等はどんな感想を抱いたか聞きたかったが、、その時間はなかった。また当時、発表にあった活動をどの位やっていたか知らないが、伊藤先生のお話ではアンネ・フランクに関する常設展、巡回展、ホロコーストに関する歴史教育プロジェクト、子ども達の異文化間能力の促進、保育者や教師に対する継続教育等を活動の内容としているそうである。最後にAnnne Frank Zentrumの教育的役割として、1、歴史的事実を伝える 2、現在の多文化社会が抱える課題を考える 3、主体的な参加を通しての学びの重視、機会の提供等を挙げられた。
 
 潮木先生は「辣腕官僚アルトホーフの活躍した時代」について発表された。アルトホーフ(1839-1908)はドイツ生まれで、ベルリンで法律学を学んだが、博士号はなく教授資格もなかった。しかし大学と行政の両方に従事し、シュトラスブルク大学の創設準備と教員採用に従事し、1872年同大学助教授、1880年フランス近代民法の正教授となった。1882年ー1907年までプロイセン文部省の大学担当審議官、大学担当局長であった。アルトホーフに対する評価は、ノーベル賞受賞者のゴッドファーザーとかドイツの学問と大学の発展に貢献した偉人等といういい評価とヤスパースの主張した「教授の品性を堕落させる体制」、マックス・ウェーバーが主張した「この人物を語るのは難しい」といった批判的な評価もある。また潮木先生は、ベルリン・ダーレムのプロイセン機密公文書館で日本人がアルトホーフ宛に出した手紙を大変な労力をかけて7000人の中から2通発見されたのである。アルトホーフはドイツで見直され、2008年10月20日に没後100周年記念シンポジウムが開催されたのである。20世紀初頭、ドイツの科学が世界のトップを占めていたのは、アルトホーフの尽力によるものである。
 潮木先生はアルトホーフの業績を通して、国家と大学の切実な問題を追究されたのである。
 「大学自らが今ある大学をいかに評価し、いかなる方向に向けて改革していくか、そうした自己反省に根ざした自己改革意欲なしには、官僚機構といえども優れた大学政策、学術政策を展開することはできない。そこに必要なのは、予算獲得のための単なる方便でもなければ、手練手管でもない。何ものにもまして求められるのは、大学自らが作りだす大学の将来像であり、学問像である。」潮木先生の著「ドイツ近代科学を支えた官僚」影の文部大臣アルトホーフ(中公新書)1993年 から引用した。本書は残念ながら絶版である。
 
 素晴らしい研究発表を聞くことは、学問研究への刺激になるし、自分の内面が豊かになったような満足感を抱くものである。参加した本学の学生も大いに学問研究への意欲をそそられたようだ。
 

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