敬愛する先生から書物が贈られてきた。筑波大学名誉教授天野正治先生の『シュプランガーの陶冶理想論』玉川大学出版である。先生のお若い頃の学位論文を公刊されたのである。私の学生時代、恩師、早大教授 故押村襄先生が日本教育学会で、天野先生のシュプランガーの口頭発表を聞かれ、感動されていたのを記憶している。
天野先生が国立教育研究所に在職中、ドイツのラーメン・プラン(義務教育の法律を定めたもの)の資料をお借りするため、先生にお会いした。その後、ドイツのレッター先生の来日で、講演等の件で、先生には大変お世話になった。そして先生が主催していらっしゃるドイツ教育研究会に入会させて頂いた。先生からは学問の方法論等を学ばせて頂いた。先生の下で、共同研究や分担翻訳等、厳しかったが楽しい日々を過ごすことが出来た。
本書は大学や研究所の図書館に是非とも備えるべき書物である。本書を熟読する楽しみを頂いたことを感謝すると共に、天野先生のご健勝をお祈りしたい。
IDE現代の高等教育2ー3月号は揺れる大学の特集である。ドイツの高等教育の変貌というタイトルで、ドイツ カッセル大学国際高等教育研究所教授ウルリッヒ・タイヒラー教授が寄稿された論文の一部を紹介する。訳は東京大学教授 金子元久先生である。
ドイツの大学への進学率は40%に上昇した。しかし、他の先進国の平均と比べるとまだ低いそうだ。ドイツ国内では大学生は既に過剰であるという批判も強く、企業からは進学者の増大によって伝統的な職業訓練制度が弱体化するのではないかという危惧もあるらしい。しかし、大学への入学者数は増加しても、卒業率は低い。だからこそ、他の諸国に見られる大卒者の雇用問題がまだ生じていない要因になっているのである。
ドイツの大学は伝統的に職業経験が重視されてきたという背景もあって、在学中のインターンシップの期間はイギリスの3倍に達するという調査もあるし、在学中に将来の職業に近い業種でアルバイトをする割合も高く、イギリスの2倍以上であるという。また、ドイツの殆んどの大学の学士課程では要求科目の10%を、職業上の基礎能力の訓練、即ち問題解決能力、コミュニケーション能力、リーダーシップ、チームワークの能力等、特定の学問分野とは直接関係のない資質の修得にむけることになっているそうである。
昨日の朝日新聞夕刊に、大学、短大1年から就職考えて 奨励事業を文科省支援 の記事が載っていた。私の前任校もインターンシップの制度があって、学生の就業力育成に効果を上げていたが、私はこの制度に賛成である。
タイヒラー先生とは大分前であるが、たしか日独継続教育の大会でお会いし、お話しすることが出来た。これも天野先生のお蔭である。
先日、本学のある卒業生が上京され、色々なお話をすることが出来た。この方はアメリカに数年在住されていたので、アメリカの話や、現在の仕事の話、家庭教育の話等、あっという間に数時間が過ぎてしまった。家庭では、3人のお子さんのお弁当作りを楽しんでいらっしゃる。立派な卒業論文を書かれ、家庭教育師、図書館司書の資格を取得されたのである。
お母さんのいない1日半、3人のお子さんは家事を分担して立派に務めたとの報告を頂いた。何とも爽やか気分であった。