このごろ思うこと
今年の大学祭で「紙芝居」をすると聞いた。紙芝居で思い出すのは、小学校の時、上級生が修学旅行の模様を紙芝居にして、全校生徒に見せてくれたことである。女子生徒三人による創作発表であったが、文も絵もうまく、修学旅行の楽しさが存分に味わえ、早く上級生になり修学旅行に行ってみたいと感じたのであった。紙芝居は子どもの心を豊かにしてくれる。
家庭教育専攻の渡邉達生教授がかつてこんなことを仰った。子どもの頃、ペスタロッチーの紙芝居を見た。それはペスタロッチーが石を温めて貧しい人にあげたという話であったと。スイスの冬は厳しいので、少しでも貧しい人を温めてあげようと思ったのであろう。ペスタロッチー研究者の末席を汚している私ではあるが、この話は知らなかったので、ペスタロッチーの逸話として紹介した。裸足で冷たい雪道を歩いていた乞食に自分の履いていた靴を与え、自分は縄を編んで足にまとって登校したペスタロッチーの逸話は有名であるが、渡邉教授のご覧になった紙芝居は更に私のペスタロッチーへの情熱を掻き立てた。
大学で授業を終えて玄関を出ると、毎週、八洲の高校の先生が下校する生徒ににこやかにお話をされている場面に会う。スポーツマンのようなきりっとした感じに、優しさを湛えていらっしゃる。生徒も先生と楽しそうに会話をし、ほほえましい光景である。私の高校時代は、朝は遅刻をした生徒を尋問しようと校門の前に、生徒部長の先生が突っ立っていた。それを恐れて、横にある鉄条網の下を潜り抜け、オーバーコートの背中を鉤裂きにした友もいた。下校の時は先生と会話をすることもなく、そそくさと家路を急いだものである。八洲高校の生徒は幸せだと思う。