2006年6月アーカイブ

シカゴの都心から郊外へ。〜中距離鉄道、Metra〜。

 人気ドラマ『ER 救命救急室』はシカゴを舞台としている。このドラマのシーンに何度か姿を現すのが、シカゴ都心部から郊外へ抜ける中距離鉄道、Metra。主人公の医師マークは、このMetraで自宅のあるシカゴ郊外から職場(病院)のある都心部へ通勤している。

station.JPG シカゴ都心部にあるMetraのLaSalle Street駅の様子。

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正面のドアから入ると、内部はこんな感じ。

 さて、このMetra。すでにこのブログで紹介したCTA(シカゴ市内で電車とバスを運営する公共交通機関)と同様、公共交通機関である。つまり、税金が投入されている。運営財源の一部は売上税で賄われている。

 実は、CTAも、Metraも、親組織RTA(Regional Transportation Authority)の管理下にある。このRTAとは、イリノイ州法であるRTA法(公共交通法)によって1974年に設置された地方政府。州政府から毎年度、補助金(補助金額は売上税収25%分としている)を受取っているが、高度に独立した運営権限が移譲されている。売上税の課税権も、地方債を発行する財政権限も移譲されている。

 郊外は、高・中所得者層の居住地域。逆に都市部は貧困層の居住地域。地域間の経済格差は著しい。したがって大ざっぱに言うと、Metraは高・中所得層が、CTAは貧困層が、それぞれ利用していることになる。『ER』で医師マークがMetraで通勤するシーンは、そうしたアメリカ社会の一側面の描写だったのである。

 車社会シカゴでも、公共交通機関Metraで通勤する高・中所得者は、意外に多いようである。

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同駅のプラットホームで出発を待つMetra(最後尾)。

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車両の側面にある「Metra」のロゴ。

CTA財政難の物質的実証

 シカゴの公共交通機関(CTA)は、「経常会計」では大赤字なのに、最終的には「黒字」に転換するという、何とも奇妙な財政システムについては、もう少し後で説明するとして、ここでは、されどCTAが財政難に直面しているという、その確かな実態をみておこう。

 例えば、駅舎内のエスカレーター。なんと狭いことか。体が大きなアメリカ人にとって、この幅は狭いはず。日本の駅舎では考えられない。朝のラッシュ時、「追い抜き」は全く不可能。あの大都市シカゴでも、公共交通の影はここまで薄いのか。
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 シカゴ市民が新たな税負担を決意しない限り、CTAの財政難は解消されない。新たな負担がない限り、CTAのサービス水準は最低保障に止まる。アメリカにも補助金は存在するが、それは、自治体間の財政力を調整したり、経常会計の赤字を穴埋めしたりする機能は全くない。もちろん、毎年度安定的に交付されるものでもない。

 分権は自治であり、自治は負担であり、負担は自立であり、自立は決意である。少なくとも、分権は自由などではない。

シカゴCTAの財政難

シカゴ市の公共交通機関、CTA。

 このCTAの財政システム。「経常会計」(人件費、燃料費、減価償却費、資本費、リース費等を管理する予算勘定)をみると、2003年度は6億8千万ドルもの赤字。

 財政難であることはもちろん問題だが、「経常会計」の仕組みから、ひとつ、興味深い示唆を得ることができる。それは、CTAが、路線サービスを享受するシカゴ市民(シカゴ市全域)から売上税(日本の消費税に近い)を課税、徴収している点である。

 この売上税。公共交通(CTA)を維持する目的で課税される、いわゆる「目的税」。日本では、国が道路建設を行うために徴収する揮発油税や自動車重量税などが目的税として知られるが、分権国家アメリカでは、市が、公共交通維持のために、これを徴収している。

 つまり、シカゴ市民は税負担をしてでも公共交通の維持存続を選択したことを意味する。「車社会」アメリカにしては、意外とも言うべき地方税であり、注目に値する。

 さて、冒頭で述べた6億8千万ドルもの「経常会計」の赤字。実はこの赤字、ある財政的な仕組みにより、CTA財政全体としては、最終的に「黒字」に転換するのである。その仕組みとは、果たして何か?

      続く。。 (以下、画像をお楽しみください)

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Austin駅(Blue Line)にアプローチするCTAの電車

P1000029.JPGいざ、乗車(AM10時頃)。乗客はこの通り。私ともう一人(ご老人)だけだった。

P1000052.JPG都心部にあるClark/Lake駅の改札口。乗換ポイントとあって利用者は多い。改築・改修工事をしたくとも、赤字の「経常会計」では捻出できず。もう一方の「資本会計」(連邦、州の補助金)だのみ。

アメリカの都市計画

アメリカの都市は、かつての中世日本の平安京を思い起こさせる。

 アメリカ第3の都市シカゴはその典型例。碁盤の目状に広がるシカゴ市の姿は、Sears TowerやHancock Tower最上階からのオブザーバトリーで確認できる。東西南北に整然と広がる道路と無数のブロック。南北に走る市内の道路は「○○Avenue」、東西に走る道路は「○○street」と、方位で単語も使い分ける。連邦ハイウェイ(Interstate)の番号も、南北に走るものは奇数、東西に走るものは偶数と、やはり方位で使い分ける。これも都市自体が碁盤の目状に整備されたことに関係している。

 公共交通機関も、実にわかりやすい。路線名はBlue Line、Red Line、Green Lineなどと色で表現している。シアトルでは、色ではなく、数字で路線を示している。色と数字。。。確かに子供でも、そして外国人でもよくわかる言語だ。この辺り、「移民の国」として発展してきたアメリカの特徴が出ているいるのかもしれない。

 日本は、東横線、埼京線、湘南新宿ラインなど、ことごとく固有の「地名」で路線が表現されている。日本の地名など全く知らない外国人はもちろん、地方から来た日本人でもわかりにくいのでは。苦労してなんとか乗車できた外国人観光客に、あたかも「ご褒美」であるかのごとく英語のアナウンスが流れる。

 「移民国」アメリカ。 「島国」日本。都市、交通、そしてそれらを有機的に結合させた「まちづくり」には、それぞれ国の特徴が出ており、改めて両者には社会構造的に相違する点は多いと感じる今日この頃である。

 日本は、歴史的には平安京という碁盤の目状の首都を建設したが、その後、戦乱の世が長く続いたせいか、細かく国を分け、国固有の封建制度のもとで自治を築き、防衛能力のない碁盤の目状の都市は好まれなかった。そうした日本人の気質が今もなお、日本の都市計画や交通政策や「まちづくり」そのものに照射されているのではなかろうかと、ふと考えた。


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整然と広がる大都市シカゴ(Hancock Tower最上階から西方をのぞむ)

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シカゴ都心部にあるInterstate(連邦ハイウェイ)のJCTの様子。西へはウィスコンシン州、東へはインディアナ州となる。両者、ハイウェイ番号が偶数になっている。

先ほど、無事、今週の授業が終わりました。

体力自慢の私も、今週はずっと風邪でダウン。先ほど、5限の「地域開発・都市経営概論」を終え、這うようにエレベーターに乗り込み、8階の研究室にたどり着いた所。ゼミ生にはご迷惑をおかけしました。でも幸い、ゼミ生から活発な議論もあり、助けられました。ありがとうございました。

お詫びに(?)、大学の9回会議室からみた「みなとみらい21地区」のビル郡の夜景を贈ります!

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では、また来週。。。

横浜市営バス

私の大学への通勤手段は、横浜市営バス。

この横浜市営バス。時間帯にもよるが、その乗客の多くが高齢者。特に午前10時〜正午にかけては、通院なのか、高齢者の方がほとんど。彼らの会話は、経済学・財政学を専門とする私にとってまさに貴重な内容。経済観念豊かな高齢者の方の話は、ついつい質問してしまいそうなくらい、興味深い。先日なんかは、何とアメリカのブッシュ大統領の批判論までもが。これが実に論理的で、ハイレベル。

それは特例としても、彼らの話の大半は、仲の悪い嫁夫婦の話、かわいい孫の話、年金の話、病院のイケメン先生の話、商売の話、そして一番多いのが、健康の話。

明日も乗ります。横浜市営バス。別に耳を澄ましている訳ではないけど。どんな講義が聞こえてくるか、ちょっぴり楽しみ。

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