2008年1月アーカイブ

今、世界共通の課題になっている温暖化ガスの削減への制度や努力。これまでの20世紀的な大量生産・大量流通・大量消費の時代から決別を迫られている。

環境対策に積極的な欧州諸国のある金融機関では、会社単位・社員単位でのCO2削減努力を義務付けていると言う。社員の出張に伴うCO2排出を削減するために、インターネット回線を利用したテレビ会議を本格導入している。交通需要を縮小させるものであるが、今後、グローバルスタンダードとなる可能性を秘めている。アメリカ(イリノイ州やバージニア州等)でも州議会の小委員会などはテレビ会議で行っていた。

本学はeラーニング大学である。学生は北海道から沖縄まで、さらに時差を超えて海外にも及んでいる。通常、学生がCO2を排出して大学に通学するところだが、本学の場合、自宅で講義が受けられるので、先のヨーロッパの金融機関と同様、CO2削減に大きく貢献しているといえる。

eラーニングは、大学教育の手法の面だけでなく、温暖化ガス削減という意味でも画期的と言えるので、近い将来、政府や企業からの支援や連携が進むのかもしれない。事実、アメリカでは、民間の通信会社や清掃会社が私立大学に出資してeラーニングのスポンサーになり、企業イメージを高めている事例がある。

昨年の夏からいよいよ深刻化したSub-Prime(サブプライム)問題。これは州や地方自治体の財政運営にも直接的な影響を与え始めている。

低所得者向けの住宅ローンが証券化されヨーロッパ諸国を中心に販売された。それがアメリカ国内で焦げ付いたことで世界の証券・金融市場が混乱を極めている。日本も苦しめられた不良債権問題の、いわば世界版。いかにアメリカの証券・金融市場が国外への影響力をもっているかが実証される形となった。

このアメリカ金融問題は、私が研究テーマの一つにしている、アメリカ財政に深く関わっている。州や地方自治体(市、カウンティ、学校区、特別区など)は財源不足を補うために債券(一般財源保証債とレベニュー債が中心)を発行しているが、その債券発行の手続きには債権の保証に専門特化している信用保証会社(モノライン)が介在する。このモノラインは、サブプライムローンを担保とする金融商品を保証していたため、まず、保証会社それ自体の信用格付けが下落。連動して、州・地方債の金融商品の市場価格も大幅に下落した。

私自身、注目しているのは、この州・地方債の金融商品価格の急落によって州・地方政府の公務員給与の支払いが滞っている点である。例えば、学校区は教職員給与の支払が困難となっている。教職員給与の主税源である地方財産税が豊かな学校区であれば、信用が高いため、新たに金融機関から資金調達できるが、そうではない学校区は資金難に陥っているのである。

アメリカ型の地方分権の厳しい現実を垣間見ることができる。アメリカには、地方債の元利払いを負担してくれる国からの補助金(日本でいう地方交付税交付金)が全く存在しない。それゆえに、このサブプライム問題は地方自治体にとって深刻になっている。

地方公営企業等金融機構への移行は、その総額166億円を地方自治体による「共同出資」で賄うことで実現されます。都道府県が64億円、市が91億円、町村が11億円、という内訳。

総務省は、厳しい地方自治体の財政状況の中で出資させるために、出資額の90%まで地方債で出資金を調達することを認め、キャッシュに余裕のない自治体でも出資できる仕組みにしました。つまり、地方に借金をさせてまでも、出資金を自ら調達させる、というものです。なかば強制的に見えるのも、そのはずで、ここまで自治体の共同出資させる最大の理由は、もし自治体から出資金が集まらないと、新「機構」に対する証券市場からの信用をは低下してしまい、新機構が資金不足を解消するために債券発行を行うとなると、金利が上昇する恐れがあるからです。それを避けるために、「自治体に」債券発行させる、というものです。

確かに、地方自治体が債券発行することは、新機構の融資活動にはメリットがありますが、しかしそのためにと言って地方自治体に債券発行(要するに借金)させるのは、自治体の住民(納税者)に利払いを強制するものであって、これでは地方分権改革に逆行しています。

日本の地方債ファイナンスは米国に比べて問題が山積しているのですが、最大の課題は、地方債の発行は原則として公共事業用の資金調達を目的としている点です。これを今回の改革によって、地方債の発行に特例が与えられ、地方財政ファイナンスに幅が広がったとの評価もあるでしょうけど、しかし本質的な問題解決とはならない気がします。

  つづく

地方自治体の厳しい財政状況・・・。そのような中で次のような改革が今年、実施されます。

今年の10月、「公営企業金融公庫」の業務を、「地方公営企業等金融機構」に引き継がせます。これは政府系金融機関の改革の一環で行われるもので、地方分権改革の一環としても位置づけられるものです。
 さて、この「公庫」とは、国が全額出資する政府系金融機関のことで、その総額は166億円になります。これを「機構」に移行するわけですが、何がポイントになるかというと、それまで国が丸抱えだった上記総額を、国が一切出資せず、その全額を地方自治体(都道府県と市町村)に「共同出資」させる、という点です。
 とはいっても、財政破綻してしまった市があるほど地方財政は厳しいはずで、手元資金に余裕はほとんど、あるいは全くありませんから、共同出資は不可能に近いというのが、多くの自治体の実情のはずです。
 しかし、何と、ほとんどの自治体はこの改革に応じる見通しになっています。その証拠に、2008年度予算でその出資額を盛り込むことになっているのです。皆さんの自治体は、どのような方針(予算編成)を立てていますか? 
 でも、なぜ、自治体は財政難であるのにも関わらず、出資が可能なのでしょうか?そして、その改革は本当に地方分権改革に資するものなでしょうか? 不思議ですね。

   つづく

地方財政自立への道

先日、あるテレビ番組で、人口7,000人の小さな町の財政自立を取り上げていました。

我が国は、東京都以外の地方自治体は、「交付団体」といって、国から地方交付税を受け取ることで財政需要を満たしています。
つまり、このテレビ番組で紹介された自治体は然り、日本のほとんどの自治体は必要とされる財源は国からの交付税に依存しているのが現実です。でも、このことは、国が全国同一水準の行政サービスを「ユニバーサルサービス」という理念で実施している結果として引き起こされているに過ぎず、必ずしも地方自治体の側が国に積極的に「依存」している訳ではない、との解釈も成立します。少なくとも、そうした解釈をもつ自治体の事例は少なくありません。

地方交付税の傾斜配分(財政調整・所得再分配)の在り方については、国の在り方そのものに係る議論ですから、慎重に議論すべきでしょうけど、全国同一水準の行政サービスの実施や維持には、少し検討する余地があるように感じた、そういうテレビ番組でした。

今後、地方公営企業会計との連結決算も4月以降実施される関係で、地方自治体の財政ファイナンス面での「自立」(自律)が本当に試されるようです。大都市を中心に、地方債の格付け取得への動きも盛んになってきてますが、小さな自治体のファイナンスの動きに注目したいものです。

来月、東北のある町を視察します。そこも、やはり財政状況は厳しいですが、しかし、自治体という組織としての財政状況が厳しくても、会計の帳簿には現れない、町民の意識や考え方、前向きな姿勢に注目したいと考えています。

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