2008年4月アーカイブ

 今回は、「レジ袋廃止」編です。
 お話に入る前に、重要なポイントを一つ。

 アメリカは「地方自治」の百貨店のような国です。州レベルは勿論のこと、地方自治体(city, county, school district, special district等に分類されます)レベルに至ると、実に制度が多様化しています。この「地方自治」の究極的な考え方は、税や財政システムを自分達で決定し、必要に応じて再編するというもの。アメリカでは、経済的、財政的な面での自立や自生という考え方が、「地方自治」の基礎を形成してます。
 近年わが国でも、地方財政ファイナンスという言葉が注目されていますが、国の補助金である地方交付税交付金を前提としたものであるため、アメリカ型の「地方自治」の意味とは大きく異なっています。

 さて本題。
 今回は、アメリカ型の「地方自治」の体現としての事例を紹介します。シアトル市の「レジ袋廃止」の事例です。これは、ある大手スーパー(民間部門)が4月22日から、地球温暖化対策の一環としてアメリカ、カナダ、イギリスにある全270店舗でレジ袋を一切廃止したことを受けて、地方自治体(政府部門)も追随した形となりました。シアトル市は来年1月よりレジ袋廃止条例を施行し、レジ袋を使用する場合は1枚20セントを課金するようです。こうした自治体の動きは全米に広がっているようです。買い物客はバック持参で来店します。
 
 実は、シアトル市に先駆けて、サンフランシスコ市は昨年、世界の主要都市で初めてレジ袋を全面的に禁止する条例を施行したことで注目されました。地球温暖化対策に及び腰のように思われがちな、消費大国アメリカですが、州や地方自治体レベルでの個別の事例を拾うと、決してそうではない実態が浮かび上がります。
 これも、アメリカが「地方自治」の百貨店であることを顕著に現しています。


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「みなと・サンフランシスコ」を沖合いから望む。

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坂道の多いサンフランシスコ市内。歴史的建造物保存や「成長管理政策」(smart growth policy)の都市計画でも知られる同市。「みなと・横浜」も地方自治を発揮できるか。

前回にご紹介した、首都ワシントンにある上院議員会館。 さて、今回はその議員会館の地下にある議員・スタッフ食堂にご案内します。

 オレゴン州選出のWyden上院議員との接見・ディスカッションを終えたのが、夕方4時。その足で、小腹が空いたのもあり、前から行きたかった地下にある議員食堂、カフェテリアに向かいました。

 エレベーターで地下に降りると、全部で4か所ほどの食堂やカフェテリアがあり、夕方の中途半端な時間でも営業しています。まず、議員が会食に使用する、オフィシャルなレストランの様子から。
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 カフェテリアの方はこのような感じです。アメリカの大学によくあるような、ごく普通の学食の雰囲気です。 皆さん、ひとり孤独に食事されています。 それもそのはず。ボス議員や党の政策情報を管理するような方たちばかりですから。そんなシビアな雰囲気の中、私の小腹は空く一方でしたが。 
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 そして、レジ横にあるパック販売ゾーンの陳列商品で一際目立つのが、健康食でアメリカで広く知られる「すし」。もはやパック販売の定番になっています。ワシントンは政治首都だけでに、比較的早い段階から健康食ブームがあり、特にすしは注目されていましたが、やはり議員会館でもその存在は大きいです。すし職人でもないのに、買いもせず、何だか誇らしげにそれを見守る、日本人・塙がいました。
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 一般に、アメリカでのすしの価格帯は、肉類や果物に比べれば比較的高いです。特に女性を中心とするベジタリアンの方はサラダのパック詰めを購入、あとはコーヒーというのが、定番の健康食パターンになっていますが、すしは、そうした健康食を好むベジタリアンを新たなマーケットとして成長しています。また、形状が崩れにくく、テイクアウトしやすいのも人気の一つと聞いてます。

  
  シリーズの第3話は、「上院議員を訪問」編です。


  突然ですが、アメリカの連邦議会(日本でいう「国会」)は上院と下院からなっており、このうち上院は各州2名ずつ選出された100名の議員で構成されています。
  今回は、上院の議員会館の中をご案内します。予めアポイントメントを取って、通商政策、教育政策、福祉政策に精通するオレゴン州選出のRon Wyden上院議員を訪問、インタビューをする機会を得ました。


ワシントンにある連邦議会・議事堂(Capitol Hill)のすぐ北側に隣接する、上院議員会館"Russel"。
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セキュリティを通って議員会館の中へ。Ron Wyden上院議員のドアの前へ。
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ドアに付いてあるオレゴン州の印形。
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いざ議員室の中へ。入ってすぐのエントランス、中央にはレセプショナーの机。左手の奥にはWyden議員のメインオフィスがある。もちろん許可を得て撮影。
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  今回は、Wyden議員の他に、若い政策秘書の方にもディスカッションに加わっていただきました。大学院生のインターンの姿もありました。皆さん、気さくです。
  
  Wyden上院議員への質問・インタビュー、それに対する上院議員の返答内容は、私の講義(地方財政・自治体論都市経営・公共政策論特別研究(福祉国家と日米経済)の3科目)の中でお話したいと思います。 グローバリゼーションの進む中で、高齢社会を維持し、一定の経済成長を求められている我が国にとって重要な示唆を得ました。

シリーズの第2話は、「老舗スーパー」編です。

  アメリカ経済は個人消費、特に住宅、自動車、食料品や衣料などの小売が成長エンジンになっていますが、今回は、食料品にクローズアップしてみましょう。

  早速、アメリカの「庶民の台所」スーパーマーケットに潜入してみましょう! ここは、ワシントンDC内のアメリカ最大手のスーパーです。アメリカは「大量生産・大量消費」の経済大国で知られますが、まさにそのことを思わせるものを一つ、ご紹介します。


  それは、この老舗スーパーの得意技、"Buy one, Get one Free"という売り方です。


  アメリカのスーパーは、日本と同様、消費期限が比較的早いもの、特に肉類、果物、野菜などは、売れずに在庫として眠らせることは「赤字」です。元々肉類は単価が安いとは言え、やはり消費期限内に販売したいのがスーパーの店長の本音ですよね。そこで、この老舗スーパーの伝統的特徴といってよいのが、「一個買えば、もう一個タダですよ」という、"Buy one, Get one Free"の手法で、在庫調整を行います。特に、庶民の食生活を支える売れ筋商品、特に、肉類、果物、ヨーグルト、牛乳が、"Buy one, Get one Free"の対象となって在庫調整を図っています。


ベーコンの場合。つまり2ハパックで5ドル99セント(約600円)。
1パックはベーコン20枚入り。
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チーズの場合。これは、"Buy 2, Get one Free"(2個買うと、1個がタダですよ)。
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  言い換えますと、庶民の大量消費を持続可能にしているのが、「在庫調整」の手法としての"Buy one, Get one Free"なのです。自動車も20世紀後半から大衆消費財(生活必需品)として社会に出回りました。でも、自動車はさすがに人件費、研究開発コスト等の販売コスト単価が高いため、"Buy one, Get one Free"(1台買ったら、2台目はタダ)は成立しませんよね・・・残念。

  経済学の理論では、「大量生産・大量消費」が可能となるのは、主として大衆化した裾野が広い消費財、つまり「需要の価格弾力性」が低い生活必需品においてであって、広く人々にその経済的便益が分配されます。また大衆消費財の出現は、同業他社間の競争をもたらし、供給者間での価格競争を生みだします。

  要するに、生活必需品である食料品は、「大量生産・大量消費」を可能にする典型分野です。大量に買い物するほど、得をするという消費社会の構造です。客の一度の買い物の量が増えるのも必然で、だから車で買い物に行く必要性も出てきます。都市計画、まちづくりにも直接影響しますね。
  「大量生産・大量消費」の是非はともかく、在庫調整が重要なカギを握っているのが、アメリカのスーパーの実情です。

 本シリーズ・「アメリカの暮らしと地域づくり」では、日本経済にも多大な影響をもたらす、超大国アメリカについて、インターネットだけでは知りえないアメリカ国内での様々な経済問題、財政問題、地域問題をクローズアップして、実際のデジカメ画像とともに御紹介するものです。

 ここで紹介する内容は、私のスクーリング担当科目、
・「日本経済・産業概論
・「地方財政・自治体論
・「都市経営・公共政策論
でも一部扱い、皆さんとディスカッションする素材になっております。
経済や財政はもちろん、都市問題やまちづくりにご関心のある方は、お気軽に履修されてください。

 さて今回のテーマは、「意外な交差点」編です。

  先週、アメリカのワシントンDCと近隣2州に出張しました。出張の目的は、都市公共交通(特に地下鉄とバス)の財政資料収集と会議出席、現地視察、ディスカッションでした。その際、地下鉄の駅をはじめ、ワシントンの都心部を相当廻りました。
  車社会アメリカでは公共交通は衰退の一途を辿っていますが、都心部では利用者は多いです。とはいっても、アメリカはマクロ的には車社会であり、路上駐車用のコインパーキングが設置されているのが現状です。例えばアメリカの都心部で「一方通行」が多いのも、路上駐車用スペースを確保し、交通の円滑を図るのが目的の一つです。

  ところが、車社会アメリカらしからぬ光景もあります。その象徴が「信号のない交差点」の存在です。先に交差点に入ってきた車が優先されるのが交差点でのルールです。もし交差点を渡ろうとする歩行者がいたら、どの車も一斉に止まり、交差点には入れません。特にワシントンDCは自治体条例としてこれを定め、車社会の暴走、リスク軽減を図っています。
  こうした「信号のない交差点」は都心部はもちろん、郊外にもあります。日本に比べて道路財源が圧倒的に乏しいアメリカでは、信号の設置費用の抑制にも寄与しているわけです。

画像1 信号のある交差点  ~ワシントンDCの都心部(ジョージタウン)~
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画像2 信号のある交差点 ~わたる歩行者~
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画像3 一方、信号のない交差点 
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画像4 信号のない交差点 ~ワシントンDC郊外、メリーランド州Upper Marlboroタウン~
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  CO2削減という国家課題を前に、近年アメリカの自治体は相当変化しています。道路建設のための連邦補助金(Flexible Aid)も包括化をはかり公共交通に振り分けられるようにするなど柔軟化して、行き過ぎた車社会を規制する動きは州・地方レベルで高まっています。
  世界最大のCO2排出国だけに、今後も注目したいところです。

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