2008年11月アーカイブ

 「4人に3人が移民、2人に1人が英語を母国語としない」。

 アメリカ最大の人口をもつニューヨーク市。人口が最大であるだけでなく、多様な人種民族で構成されてます。その意味でグローバリゼーションの縮図のような都市といえます。でも、このように移民が大半を占めるニューヨーク市も、自立的な権限と税源をもつ地方自治体であることに何らかわりはありません。納税者は税負担をし、教育、福祉、住宅、公衆衛生等の行政サービスが維持されています。移民であっても納税者です。

 巨大な移民都市ニューヨーク市は、アメリカ最大の生徒数をもつ巨大な学校区です。そこは、英語を母国語としない移民の家族が多く居住する学校区で、そこの小学校や中学校は彼らがアメリカ社会で生きていく上で最低限必要とされる基礎能力を習得させるという、極めて重要な役割を果たしています。
 特にほとんどの小学校で英語の補習授業プログラムは重要であり、そのための予算や教員の動員も市教育委員会や各学校レベルで毎年議論されています。また、英語を母国語としない両親との対応にも、大変な苦労があるようです。

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 9月に視察したのは、ニューヨーク市のマンハッタンにある小学校。小学校4年生の社会の授業を視察させていただきましたが、生徒一人ひとりにパソコンを与えてのインターネットを活用した授業でした。

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 インターネットを活用した授業はクリントン政権以来、全米の小・中学校で実施されてますが、その導入機材の良し悪しは学校区の財政状況(自主財源)で決まります。私がこれまで視察した中では、マクロソフト社が小・中学校の授業運営のために開発した"Smart Board"と呼ばれるモデルが最新機材と思いますが、今回視察した小学校の校長先生に伺うと、まだ導入は難しいとのことでした。

 世界最大の移民都市ニューヨーク。
 大都市の「華やかさ」の裏側には、財政的に厳しい教育現場の実態がありました。おまけに、破綻した例の証券会社からの寄付金も一切途絶えたことも教育財政(資本改善事業)に重く響いているようです。

 学部時代から現在まで数えて、まだほんの15年間ですが、アメリカ経済、アメリカ財政の研究に携わってきました。
 その過程でも、強い関心を抱いてきた分野の一つが、アメリカ経済の「心臓部」、軍需産業(military industry)です。他の優先すべき重要な研究テーマもあったので本格的に資料収集や分析は行ってませんので、それなりの研究レベルに止まってますが。
 
 9月にニューヨークとロサンゼルスに出張に行く機会があったので、ロサンゼルスではその南部郊外にあるアメリカ最大の軍需産業の町、El Segundoに立ち寄ることができました。15年間の少ないアメリカ研究の蓄積ながら、この街に訪問することは、「念願」でした。

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 El Segundoカウンティ内の軍需企業を3社ほど訪問しましたが、当然ながら、どの企業も厳重体制で、1社だけ、プラント内を見せていただきました。それは、アメリカの最新鋭戦闘機 F-22Rapterの空気取入れ口を専門に製造する企業です。

 さて次期オバマ民主党政権における軍事支出(研究開発費を含む)は、これまでの共和党政権に比べれば抑制されるとの公算が高いですが、しかし軍需から民需への技術移転・波及効果は絶大であることは歴史が証明してます。
 インターネットは、その民需移転の典型例であることは有名な話です。その恩恵により、eラーニングも可能になっています。

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 歴史的に見て軍需産業は20世紀のアメリカ経済の繁栄を支える花形産業であり続けただけに、単純な発想での軍事支出削減は、アメリカ経済の発展の次なる局面で競争力を削ぎ落としかねません。

 90年代クリントン政権は軍事支出を削減し、支出全体の10%を切る年度もありましたが、オバマ次期大統領ではどのようになるのでしょうか?歴代の民主党政権が得意としてきた「内政」ではなく、「外政」に関わる軍事支出をオバマ氏はどのように認識しているのか、彼の今後の連邦議会内でのリーダーシップが注目されている所以です。

 アメリカ経済は、サブプライムローンに端を発する一連の金融危機とそれへの緊急経済安定化策としての大規模な公的資金投入による不良債権の買い取りを見ていると、単にアメリカの自由経済の無法ぶりを批判する論調がEUを中心に支配的になっています。

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 しかし、アメリカの資本市場、証券市場が20世紀を通じて、いかにグローバルな信用と魅力を保ち続け、世界の投資家から資金を調達できるほどの強固なファンダメンタルズを担保していたかという側面がもう少し論じられても良いと思います。


 現在、金融サミットでは、IMF等によるグローバルな資金規制が導入される方向で議論されていますが、その改革をアメリカがどの程度受け入れる用意があるかについては、今回の金融サミットでのアメリカ(ブッシュ政権)の姿勢からは、未知数のようです。


 それもそのはずで、いまアメリカ連邦議会では、公的資金注入の実質的なアクションプランに移っているため、IMFの資金規制改革よりも、不良債権の値付けをどのように行うかが、最大の論点になり続けているからです。公的資金を投入する以上は、納税者にワラントを発行して権利保証すべきだとする意見が経済学者から出ているのです。


 プリンストン大学のPaul Krugman教授(今年のノーベル経済学賞受賞者)はリベラル派の経済学者で広く知られ、次期オバマ民主党政権のブレインになることが有力視されていますが、とりわけ彼の主張は、納税者へのワラント発行による権利保証すべきであるというものです。(The New York Timesのコラム、米PBSでのコメント)。


 来年1月20日に、オバマ次期大統領による大統領就任演説があります。おそらくオバマ大統領はその就任演説の場で、2年にわたる公的資金投入と納税者の権利保証について何らかの言及があるはずです。 注目したいところです。

 2年にわたる2008年のアメリカ大統領選は、アメリカの建国233年の歴史を大きく変えるものとなりました。 "Change is coming"は、単なる繰り返しの「掛け声」でなく、まさに「現実」となりました。

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 今、Obama一家にとって重要なのは、ホワイトハウスで飼う犬の種類と、2人の娘の転校先であると、日本でも報じられています。犬はともかく、転校先がアメリカで話題となるのは、いくつかのアメリカ的な背景があるからです。

 アメリカの初等中等教育サービスは「学校区」(school district)と呼ばれる地方自治体ごとに地方分権的に運営されているため、どの「学校区」を選択するかが両親(学校区の納税者)や学ぶ本人にとって重要となっています。学校区ごとの分権型の教育システムは、明確な格差を生み出す制度でもあるため、1970年代以後州から学校区に補助金を大規模に交付するようになりましたが、富裕な学校区は青天井に財源を確保することが可能であるため、州補助金の格差是正効果には限界があるのが現状です。

 さてObama氏は民主党です。民主党はこうした州・地方レベルでの教育財源の格差を重大なアメリカの国家的課題として掲げてきた政党です。貧困層が多い学校区には手厚く連邦補助金を交付することを支持してきました。それだけにObama一家が、どの「学校区」を選択するかが注目されている、という訳です。

 ワシントン郊外には幾つかの富裕な学校区がありますが、特にメリーランド州にあるBethesdaが代表例です。

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大統領ファミリーと言えど、どこかの州の「学校区」を選択しなくてはなりません。

         さて、 Obama一家は、どの「学校区」を選択するのでしょうか?


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