本シリーズ「アメリカの暮らしと地域づくり」は、超大国アメリカの政治、経済、財政、家計生活、都市地域、教育、福祉、医療、軍事など様々な問題をクローズアップして、実際のデジカメ画像とともに御紹介するものです。
今回のテーマは、「サブプライムローンと都市計画」 編です。
世紀的な経済不況をもたらした「サブプライムローン問題」で、すっかり日本でも知られるようになったアメリカの都市郊外に広がる住宅街。プールやバックヤード付きの高級住宅も多くあります。
日本でもそうですが、郊外の住宅開発を含め、その立地許可を出すのは地方自治体です。アメリカは地方分権社会ですから、地方自治体の権限は日本よりも相対的に強いわけですが、それ故に地方自治体の都市計画の基本構想を盛り込んだ「マスタープラン」は重要です。
その地方自治体の「マスタープラン」作りに欠かせない学問領域が、経済学や統計学を基礎とし、政策提言を目的とする応用・実践学問、「公共政策」(public policy)です。
例えば、アメリカの地方自治体に雇われているCity manager達はみな、この専門家です。
なかでも「成長管理政策」(growth management policy)と呼ばれる都市計画の考え方はアメリカで広く浸透してます。
上図は、「成長管理政策」に基づく都市計画モデルの概念図です。注目ポイントは幾つかありますが、ここでは一つ、「cycling(自転車)」と「street car(路面電車)」の領域が連動している点を紹介します。
端的にいえば、アメリカの多くの地方自治体(主要都市)では、バスや電車に自転車も載せて乗車できます。「クルマ社会」である一方で、近年こうしたクリーンで社会的費用(インフラ増大による将来の増税)を事前に抑制する都市計画が、地方自治体レベルで進んでいます。
成長(人口や面積、社会的費用など)を管理するという発想は、「クルマ社会」アメリカには信じがたいことでしょうが、実は1960年代前半からカリフォルニア州を中心に、こうした考え方が地方自治体で実践されているのです。
地元の州立大学(大学院の都市計画学部・公共政策学部)はそのブレインになってきました。今日オバマ政権による「グリーン・ニューディール」政策も、この地方自治体が進める「成長管理政策」と整合するものとして注目されています。
サブプライムローン問題は、投資銀行の暴走、金融工学の独り歩きが原因とされてますが、私自身はそれらに加えて、都市計画の失敗、地方分権社会における地方自治体の地方財産税の獲得競争、つまり「成長管理政策」からの脱線があったと、考えています。
