「日本人は尊敬されるか、軽蔑されるか?」
八洲学園大学・教授 岸 俊彦
(海外派兵の要求)
アメリカの新しい大統領にオバマが就任するにあたり、アメリカから日本に新たな要求がだされると、知ったかぶりの政治評論家やマスコミの報道がしばしば流されている。
その内容は次の通りである。新大統領はテロ対策として、イランから撤兵して、アフガニスタンに兵力を向けることを決めている。日本もテロの対象になっているから、日本もそれに貢献・援助するべきである。そこにはすでに、世界から多くの国が出兵しているから、日本も自衛隊を派遣するべきである。
また、最近は、アフリカの東部のソマリアの沖で海賊がでて、日本の船が被害を受けていると、外務省が報道している。 それを受けて、政府・与党は海上自衛隊を派遣する法案の制定に着手したとマスコミ(朝日新聞1月8日朝刊p2)は報道している。公明党は慎重だが、民主党に異論があるようだが、その一部には賛成意見もある。
(派兵を拒否する精神)
このように、日本人の中に、派兵に対する、意見に賛成の人がいるようだ。しかし、もし、アメリカの高官から、日本も軍隊を出して支援しろと要請されたら、「私は、個人の思想は自由あるから、自衛隊の海外派兵に賛成する・しないと発言することは自由であるが、日本国の方針として、日本が自衛隊を海外に派遣することには、憲法の規定に違反するからできない。」と言うのが、民主国家の日本人として当然である。
アメリカ人も政府は憲法を守るべきであると、考えているから、日本人が自分の国の憲法を守ることを第一に重要なことと主張することは認める。たとえそれが、アメリカ人の要望に反しているが、当然だと考える。そして、日本人は、約束を守る国民であると信用されるのである。
ところが、憲法に国際紛争に武力を使用しないと書いてあるにもかかわらず、
日本政府が、自衛隊(外国から見たら軍隊と同じである)をアフガニスタンにだしたら、日本人は憲法に書いてあるルールさえ守らないなら、信用できないと、アメリカ人ばかりでなくと他の外国人にも考えられる。
外国人が見たら、「もし、海外派兵が必要なら、憲法9条を改訂すれば良いではないか? 現在なら自民党・民主党の保守的な議員を集めれば、憲法改定の発議をする3分の2を超す議員数を確保できるのでないか?」 と。
確かに、現在の衆議院の議員数は、前回の総選挙で、郵政民営化を争点にて、小泉首相が自民党をぶっ壊すと宣伝して、小泉自民党が圧勝した結果である。
しかし、憲法改定をテーマにした選挙ではない。
だから、現在与党は3分の2の議席を持っていたも、憲法9条を改訂して、海外派兵を認める条文にすることに、国民が賛成することに自民党は自信がない。
その証拠に、小泉首相が辞職して、その後を継承した安倍内閣の支持率は、若さと美貌と歯切れの良さにより、初めは高かったが、1年で低下した。彼の健康の理由で、彼は辞職したが、その原因は、彼の保守的な鷹派的体質にあった。国民がその体質を心配して、支持が離れたのである。
野党の党首である小沢一郎は、国際連合が派兵を決議した場合は、日本も派兵することができると、憲法9条を曲解・解釈しているが、これも自民党と同じく姑息な手段である。 日本人が決めた憲法の上に、他国人が決めた国際連合のルールを持ってくるのは、日本人が自立していない証拠である。
憲法9条の文面にはっきりと、国際紛争の解決手段として、日本は戦争をしない書いている。平和的手段で解決するのが日本人の心である。これが、第2次世界大戦で得た教訓である。
「この精神があるから、アメリカ・その他の国の派兵の要望にそえません」と、はっきり意見を言えば、そんな国があるのだと、かえって、尊敬される。
戦後、60年間、日本の軍隊は外国人を1人も殺していない。
日本の若者を1人も戦死させていない。
これは、世界に誇れる事実である。
(愚かな膨大な軍事費)
世界の主な国の軍事費の一覧表を見てみよう。
この表は、ストックホルム国際平和研究所 (2006年版 軍備、軍縮及び世界の安全保障 広島大学SIPRI年鑑 2007:3:30 p313)の調査の結果である。
世界の軍事支出:計 10,010億ドル
1.アメリカ:4782億ドル
2.イギリス:483
3.フランス:462
4.日本:421
5.中国:410
6.ドイツ:332
7.イタリア:272
8.サウジアラビア:252
9.ロシア:210
10.インド:204
11.韓国:164
12.カナダ:106
13.オーストラリア:105
14.スペイン: 99
15.イスラエル:96
軍事費は、国民の生活の役に立たない。戦車を作っても、畑を耕すのに役立たない。戦闘機は旅行に役立たない。だから、どの国も、軍事費を抑えるの努力をしている。しかし、政治家・軍人・軍需会社(政・軍・財)の圧力で国の予算がぶんどられている。日本でもアメリカでも同じ構図である。
アメリカの大統領アイゼンハウアーは、第二次世界大戦の英雄の軍人であったが、彼ですら、この圧力を押さえることが困難であると述べている。彼が予言したとおり、アメリカの軍事費は増加して、世界の他の国々の軍事費を合計と同じくらい膨大にふくれあがっている。それでも、彼らは欲望を満足しないで、ベトナム戦争、イラク戦争と、次々に戦争をしかけて、戦費を拡大している。イラク戦争では、日本に戦費を負担させた。その金は、アメリカの軍事費に使われたのである。彼らは、イラク戦争が終わりそうだから、次は、アフガニスタンに狙いを定めている。アメリカの軍備拡大の政軍財の尻馬に乗って、勢力を拡大しようとするのが日本の政軍財である。
オバマが、軍事費拡大を押さえることができれば、アメリカ経済は再生するであろうが、アフガンに引き込まれると、泥沼に落ちるであろう。
(日本の派兵拒否の意義)
現在、日本は世界で第4位の軍事費を使っている国であるが、日本の若者を一人も軍人として、海外に出さないと内外に表明すれば、海外の人々に与える影響は大きい。第二次世界大戦の時、日本の軍隊がアジアの占領地区で犯した罪を謝罪して、日本軍は 今後 外国の人を一人も殺傷しないことを行動で示すことにより、アジアの人々に対する、謝罪の気持ちを示すことができる。 また、アジアの人は、日本人が平和を守る意志であることを信用することになる。
日本人が平和を希求し、戦争を嫌悪することは、尊敬されるであろう。
それは、アジアの人々も、心の奥で、希望していることだからである。
