ゴールデンウィークとなりました。カレンダーどおりに飛び石連休の方もいれば、2週間ほどまとまった長期休暇になる方もいるようですが、いずれにしても、この時期、普段なかなかゆっくりと過ごすことのできない家族や親族と会って団欒する機会が増えることが多いのではないでしょうか。私も、29日、早速実家の両親を訪ね、久しぶりにゆっくりと楽しい時間をすごしてきました。そこでの会話というのは、本当に些細なたわいも無い話題ばかりなのですが、それでも顔をあわせて同じ部屋で同じ空気を吸って、同じ食事を囲む中で、なんとなくお互いにエネルギーを交換しあっているような感じがします。実際、私の母親は、「家に一人でいるとなんとなく身体が寒々しく冷え切った感じがしていたのに、今日みな訪ねてくれたら、急に身体が熱くなってきて元気がでてきた・・・。」などと何度もいっていました。このように親が喜んでくれると、本当によかったとしみじみ思います。家族というのは、理屈ぬきにその存在だけで価値あるものなのだ、と、身をもって感じた一日でした。
2009年4月アーカイブ
Aは、BがCを褒めるのを聞くと
A:「その人はもう死んだのか」
B:「まだ生きています」
A:「なら褒めるのは早い。今後なにか大きなミスをするかもしれん」
また、Aは、BがCの悪口を言っているのを聞くと
A:「その人は死んだのか」
B:「まだ生きています」
A:「では、謗ってはならぬ。その人は今後なにか良いことをするかもしれん。人の善悪など死んでみんとわからん」
(このAという人物は、今川義元に認められた大休宗休という高僧)
また、『法句経』には、「沈黙する人も非難され、多く語る人も非難され、少し語る者も非難される。しかし、ただ謗られるだけの人、褒められるだけの人は、過去にも現在にも未来にもいない」といった話がある。
こうした話から学ぶことがあるとすれば、「人の評価をするほど自分の物差しは長いのか」、「無駄口をたたかなければ、トラブルに巻き込まれない」、「平穏な心であれば、不平不満は口にしない」、「不満を聞いている人はさぞかし苦痛だろう」、「人の気まぐれな評価、噂話で一喜一憂しない」などといったところであろうか。人によって色々受けとめ方があると思うが、私自身に当てはめて退歩就己してみると、本当に心が痛くなる解釈ばかりだ。確かに、世の中を見渡すと、不平不満の尽きないのが人間の常であるが、だからといって不満だらけの人生は何の建設的結果をもたらさないことも事実である。
不満を常に抉り出そうとする<心>とは本当に厄介なものである。<心>は、良いことがあれば人間を気持ちよくさせ、悪いことがあると落ち込ませる、まさに自分勝手に動き回る「魔物」である。そして、多くの人達がこの<心>に翻弄される。そういえば、今は亡き自坊の師匠は「心は生き物。だからこそ、心にも我慢を覚えさせる訓練を徹底的にさせなきゃいかん」といつも口癖のように言っていた。
<心>を制御できればどれだけ楽に生きていけるだろうか。でも存在論的無であればそれはニヒリズム(虚無主義)へと陥ってしまう。ニーチェの言うような「強人」で無い限りニヒリズム的に生きることはできない。ましてや私のような弱い人間には到底無理な話である。
それにしても、心を無くす訓練は、そう簡単にできるものではない。一生かかっても為し得るかどうか...。それほど<心>には「自我」がべったりと張り付いてしまっている。このような厄介な<心>だからこそ、「無心」を標榜するプロフェッショナルの禅僧などは、魔物(心)と死ぬ覚悟で格闘し、日々厳しい修行を積んでいるのだろう。では、私のような凡人は、何から始めれば良いのだろうか。そこで思いついたのが、ためしに不満を言わず(持たず)に、一ヶ月生活するということだ。心を常に穏やかにするように意識的に努力してみようと思う。
さて、不満を言わないポジティブな親の姿を見て、子どもたちは何か感じ取ってくれるだろうか・・・これも立派な家庭教育といえるかどうかの答えは、子どもたちの生き方に反映される。
先日ノーベル化学賞を受賞された下村脩さんの記念講演会に、小学校を卒業したばかりの孫と出席しました。朝日新聞社の募集記事を見て、卒業記念になればと考えて応募したところ幸い当選したので、出かけたのです。科学にあまり興味のない私が下村さんに心引かれたのは、あの方の目先の利益にとらわれない、愚直ともいえるその生き方にありました。
日本でのウミホタルの研究で認められてアメリカに渡った後、家族総出でシアトル近郊の海へ出かけて、発光生物のオワンクラゲを1トン以上も採取したというのです。直径20センチ近くあるクラゲを一つ一つ丁寧に特殊な網ですくい取って陸に運び、傘の縁の部分を特殊な機械で切り取って、研究し続けたその途方もない努力に感銘を受け、若い人に伝えたかったからで、それは孫にも伝わったようでした。
このような下村さんの研究を支え続けたものは、「知りたい」という探究心だったというのです。あくなき探究心が「緑色蛍光たんぱく質(GFP)」発見という金字塔を打ちたてたのでした。もちろんご家族の協力も大ですが。
現在下村さんのなさった研究は、生命科学や医学の研究などにも欠かせず、ガンの転移やアルツハイマー病を調べる研究などにも寄与してるそうです。
子どもの好奇心を潰さず、「自分で考えられる」ような子育てが大事ということを改めて知らされた講演会でした。
