2004年八洲学園大学がスタートしたとき、非常勤講師として家族社会学概論の科目を担当しました。そして、2006年、専任教員となって、現代の社会病理や夫婦関係概論、教育社会学などを担当してきましたが、この3月で退職することになりました。
「家庭教育こそ教育の原点」というスローガンのもとにスタートした八洲学園大学は、インターネットによる通信制の大学として時代の先端をいく大学でした。時代は、家庭教育の衰退を憂え、どうしたら家庭教育の再建ができるのか、家庭教育学の構築に大きな期待がかけられていました。ところが、家庭教育について学ぼうという学生は、あまり集まりませんでした。大学の存続が危惧されるような状況でした。その結果、この4月からは、家庭教育を学ぼうという学生に募集はなくなり、大学の構成から「家庭教育」という言葉も消えてしまいました。
家庭教育は、これからも大きな社会問題として関心を呼ぶでしょうし、真剣に考えなければならないでしょう。その意味では、八洲学園大学がその建学の精神を数年にして放棄してしまうことになってしまったのは本当に残念なことです。せめて、日本家庭教育学会が認定した家庭教育師、家庭教育アドバイザーの資格を取得できる道は、是非残してほしいと思います。
思えば、1971年10年間勤めた東京家庭裁判所から大正大学へ移ってから40年を大学教員として仕事を続けてきたことになります。大学を卒業してすぐ家庭裁判所調査官として東京家庭裁判所に就職した私には、研究者としての訓練や教育者としての素養ありませんでした。ですから、大学生活に入った当初は右も左も解らず、無我夢中の毎日でした。そんな私がこれまで大学の教員として勤めてくることができたのは、学生として私の授業を受けてくださった多数の皆さん、家族社会学の研究者の仲間として受け入れてくださった家族社会学関係の先生がた、教員として認めて多くの援助をしてくださった大正大学の関係者の皆さんなど数え切れない多くの方々のご指導、ご援助があったからにほかなりません。本当に暖かいご厚情に包まれた幸せな人生でした。
人間は、一人では生きていくことができません。本当に多数の人たちの助けがあって生きていけるのです。第一線を退くことになった今、あらためてそれを実感しています。最後に皆さんのご健勝とご多幸を心からお祈りして、お別れのご挨拶といたします。ありがとうございました。
