家庭教育の教員より(51): 中田 雅敏 教授

「街づくりと家庭教育」―家庭教育師、家庭教育アドバイザーの役割―


1、教育基本法
教育基本法には次のように記されている。
「学校・家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする」(第13条)


2、学校教育法
また、学校教育法にはこうある。
「中学校、高等学校は、当該学校に関する保護者及び地域住民その他の関係者の理解を深めるとともに、これらの者との連携及び協力の推進に資するため、当該学校の教育活動その他の学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとする」(第43条)
 これらの法の目的はおよそ次のような点にあるといえる。
①学校は地域の人々とともに生徒を育てていくという視点に立つこと。
②家庭、地域社会との連携を深め学校内外を通じた生徒の生活の充実と活性化を図ることを目指す。
③学校、家庭、地域社会がそれぞれ本来の教育機能を発揮し、全体としてバランスの取れた教育がなされ、児童生徒の健全な育成を目指すこと。


3.具体策
上記の目的を達成するには次のような具体的な対策・取り組みが必要となると思われる。
①地域の人々の積極的な協力や家庭の参加を得て、生徒にとって大切な学習
の場である地域の教育資源や学習環境を一層活用して役立てる。
②各学校の教育方針や特色ある教育活動、生徒の状況などについて家庭や地域の人々に説明し理解協力を得る。
③家庭や地域社会における生徒の生活のあり方が相互に大きな影響を与え合っていることを考慮し、地域の人々の生徒向けの学習機会の提供、地域社会の一人としてのボランティア活動の積極化など、学校、地域がもつ本来の教育機能が総合的に発揮されるように協力体制を作る。
④近隣の学校や地域の学校同士など全体を含め、町同士で連携や交流を図ることが大切である。


4、学校、地域同士の連携
学校同士、地域同士が相互に連携を図り、より豊かな人間関係を広げ、経験をつみながら広い視野を持った人間を育てるためには次のような取り組みが必要になると考える。
①それぞれの町に伝わっている年中行事、祭礼などに、地域設立の学校という狭い意識を捨てて、積極的に参加を促す。
②近隣の学校同士が連絡会や合同の研究会、研修会を設立することで、どんな街づくりが行われているか、どんな年中行事があるか、そこで協力できることは何があるか、互いに交流を深め参加することができるか、などを生徒、地域の人々同士で確認し、連携を図る。
③広い視野に立って教育活動が行えるような街づくりや、地域相互に伝わる伝統文化をお互いに学ぶことによって、家族や、家庭のあり方の原点を見極めることができる。
④近隣の中学校や高等学校で、自分の住む町についての歴史や、生活、人々の暮らしを調査し、発表会をもつなどすることによって家のあり方や、教育活動の改善を図るなどの上で極めて有意義で新たな発想が生まれる。


5、家庭教育師、家庭教育アドバイザーの役割
学校同士の交流、地域の学校同士の連携などを推進する役割として、学校教育士、家庭教育アドバイザーは大きな意義と役割を持っている。学校同士の交流を図り、近隣の中学校や校区の小学校と連携協力し、学校行事、クラブ活動、部活動、自然体験活動、ボランティア活動、情報通信ネットワークなどの活用、介護施設訪問、特別支援学校などとの交流を図ることによって、生徒の活性化と、幅広い視野と、広く深い体験をし、視野を広げ、豊かな人間形成を図ることができる。これらは学校の教育活動の一環ではあるが、校務としては教員による実現は不可能である。ここに家庭教育師、家庭教育アドバイザーのコーディネートと指導力が求められているのである。
①障がい者基本法第14条による交流と共同学習を実現し、正しい理解と認識を深め、同じ社会に生きる人間として共に生きてゆく大切さを学ばせる。
②都市化や核家族化の進行により、日常の生活において、高齢者と交流する機会は少ない。高齢者と積極的に向き合い、自然に触れ合う機会は「街づくり」としての意味を持っている。積極的に学習機会を設け、古老より「家のあり方」を学習する。
③高齢者から様々な生きた知識や人間の生き方を学ぶ。
④高齢者を学校行事に招待する。高齢者より伝統文化を学ぶ。高齢者の豊かな体験に基づく話を聞く、介護の手伝いをする。


6、行政に働きかけをする、家庭教育師、家庭教育アドバイザー
埼玉県教育委員会では昨年(2010,2月)にそれまで設置されていた「生涯学習文化課」を廃止し、「家庭・地域連携課」に改組をした。これは「埼玉県アドバイザー」という資格を持った人々で構成され、「県子育てアドバイザー」「県家庭教育アドバイザー」が主たる資格でこの資格は県教育局が開催する要請講座(10日間、計50時間)を受講した人が認定される。現在の時点で1155人が登録をしている。2008年度の活動実績は10,000件を超えてますます受講要請がある。大きな団体として「県家庭教育振興協議」(260人組織)と「県子育てアドバイザー」(340人組織)が中心となって、講演会や相談会、個別家庭指導を実施している。


埼玉県教育委員会に設置されていた「県教育局生涯学習文化課」を2009年(平成21年)より名称組織を変更して「県教育局家庭地域連携課」となり、「家庭教育アドバイザー部」と「子育てアドバイザー部」が設置された。本年度から受講を終了した、これら二つの「県家庭教育アドバイザー」と「子育てアドバイザー」の人たちが実際の活動に携わり、すでに平成22年度で10,000件を超える要請がある。時代は確実に「家庭教育」を必要としているのである。

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このページは、家庭教育が2010年6月13日 01:57に書いたブログ記事です。

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