« 平成19年度「人間開発教育課程の目標」 | □ | 平成18年度「人間開発教育課程の目標」の達成度 »

「少子・高齢化」の考え方

人材開発教育論グループ  塙 武郎

近年日本で問題視されている「少子・高齢化」。これは今後日本に深刻な労働力不足を招き、日本経済を危機に曝すものと考えられています。しかし、この推論は果たして正しいでしょうか?

確かに、現在8400万人いる生産年齢人口は、50年後(2055年)には4600万人まで減少するとの推計があり、労働力不足という事態は避けられません。

ところが、マクロ経済学(経済成長理論)は、決してそのような悲観的、絶望的な結論を導きません。なぜなら、日本は先進国であり、その先進国にあっては、経済成長は労働力人口に比例するわけではなく、設備や機械など資本の蓄積や技術進歩(イノベーション)に大きく依存している、と考えるからです。資本の蓄積や技術進歩は「労働生産性」を高めますから、単純に労働力人口が低下したからと言って経済成長がストップしたり、マイナスになったりはしないのです。これが経済成長理論に基づく結論です。

むしろ「少子・高齢化」で問題にすべきは、構造的に少ない労働力人口で得た経済的富が、個々人の意欲や能力で公平に分配される新たな経済社会システム、とくに年齢を問わず技能や技術の価値を重視した労働市場への再編、職業教育・就労機会の拡充や安定供給がカギとなるでしょう。国家経済の拡大よりも、個人所得の公平を重視する新たな税制も必須でしょう。そして何よりも、こうした科学的な考え方を身に付けることが、「少子・高齢化」を迎える上で重要な一歩となるのではないでしょうか。

人材開発教育論グループでは、このような現実的、実践的なテーマや視点から、将来の日本の社会、経済、企業経営などの姿を見据えた、興味深い講義や演習を用意しております。意欲と熱意のある学生を心よりお待ちしております。