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10【親子の間の信頼関係-社会秩序の基礎】

「葉公語孔子曰、吾黨有直躬者。其父攘羊、而子證之。孔子曰、吾黨之直者異於是。父爲子隱、子爲父隱。直在其中矣。」
「葉公(しょうこう)、孔子に語りて曰く、吾が党に直躬(ちょくきゅう)なる者有り。その父、羊を攘(ぬす)みて、子、これを証せり。孔子曰く、わが党の直き者はこれに異なり。父は子のために隠し、子は父のために隠す。直きことその中に在り。」(『論語』子路篇)

親子関係(家族関係)を重視する儒教の考え方を象徴的に表している有名な言葉である。葉という地方を治める長官である葉公は、その立場からして、社会共同の利益・法秩序を優先し、父の非理を告発した子を「直き者」(正直な人物)とする。これに対して孔子は、たとえ父と子が社会的な罪を犯したとしても、互いにその非理をかばい合うことにこそ、正直の真の意味があると対応する。
儒教の独特の家族中心主義が全面に出ている話である。否、ともすれば、この話は、自分の家族の利益のために他人の正当な権利・利益を侵害してもいい、というような家族利己主義へと導きかねない。現代社会が追究する社会正義の側面からすれば、この主張はもう廃棄すべきものになろう。しかし、孔子のいわんとするところはそのような偏狭なものではない。この主張が現代においてもなお有効であるように見えるのは、親と子が互いに過ちをかばい合うその情には法も関与できないという、人間の最も基本的な本性、またそれに基づく人間関係の本質を衝いての発言だからである。親と子の間の信頼関係こそがあらゆる人間関係、すなわち社会秩序の基礎となるものだからである。

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2007年6月29日 05:56に投稿されたエントリのページです。

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