一昨日、全国学校図書館協議会刊行の雑誌「学校図書館」3月号が届きました。本号の特集は、「校長のリーダーシップと校内協力体制づくり」です。5つの論文がありましたが、二つを紹介したいと思います。(いずれも若干個人的にお目にかかったことのある方のものです)
一つは、山口県周南市立富田西小学校長 松村真一郎氏の「学校図書館教育を学校経営の中核に」です。
2004年8月に、松村氏は県の司書教諭研修会で「山形県に学校図書館大賞を受賞した素晴らしい学校がある」と聞いて、鶴岡市立朝暘第一小学校の著作『図書館をつくる 教育を変える』(全国SLA)とビデオ「図書館を生かす 学校は変わる」(紀伊國屋書店)を入手されました。
第一に驚かれたのは、ビデオで紹介された学校図書館の混雑ぶりです。松村氏が研究してわかったことは、単に「児童に本を読ませよう、図書館利用を伸ばそう」というのではなく、学校経営の中核に学校図書館教育を据えるという新しい発想だったのです。
そして周南市立富田西小学校に2008年度学校司書が配置されたのを機に、学校の経営方針の中に「学校図書館教育を学校経営の中核に据える」ことをうたったのです。(まだきめ細かい措置がとられています)
図書館利用の全校体制を整え、年間利用計画に基づいて、学校司書は参考図書の準備に没頭しました。「授業で使える図書館」が動き始めたのです。図書館利用も前年比で約4割増えました。
学校図書館利用と校内研究を結びつけて、授業研究を推進しました。研修主任と司書教諭が連携してくれたのです。授業研究に結びつけたおかげですべての先生が図書館利用を意識されました。調べ学習が進展するにつれ、児童の読みの質が向上していったとのことです。
学校経営の様子を保護者や地域に知らせるという観点から、2008年度、保護者にも読書活動をすすめ児童の心を耕したいと読み聞かせボランティアを募りました。7名(今年度は10名)の参加があり、貴重な応援団になって下さっています。参観日に合わせて地域にも図書館を公開しました。地域の方だけで無く、市会議員も参観に見えるそうです。学校図書館に学校司書が配置されてからどれだけ児童の読書量が増えたか、どのように授業支援が進んだかをしっかり見て行かれたとのことです。「西小の子は良く本を読む」と評判になり、学校司書の配置をモデル校だけではなく、全市的に望む声が高くなっていると言うことです。
松村氏が最後におっしゃっているのですが、「不思議なことに先生方から来年度は学校図書館教育をやめよう、という話は出てこない。ふつうは、校長が何か目新しいことを始めると在職している間は続くが、去ると途絶えるのがよくあることだか。」
その理由を、こう述べていらっしゃいます。「これは、きっと先生方が学校図書館教育の良さを実感してきたからに違いない。ふだんの授業に結びつき、しかも無理がない、かつ、児童の主体性が育ち、学力も向上する。」
全国のすべての先生方にこうした体験を共有してほしいものと思います。この松村先生には、去年大豪雨のなか、行われた山口県山陽小野田市での講演会(五十嵐絹子さんと一緒でした)でお会いしました。
今一人は、島根県出雲市立今市小学校の司書教諭、吉廣恭由子先生の「今市っ子図書館ができるまでーすべては学校経営案発表から始まった」です。2007年4月新校長の就任の日に出された学校経営案は、学校図書館が学校経営の基盤のように書かれていたそうです。特に「例外無く全員で取り組む朝読書」が強調されていました。理念ばかりでなく、図書標準に足りない図書をどう満たすのかまで具体的に示されていたそうです。
図書館の改造を徹底的に行い、朝読書も全員で本と取り組みました。今も進化を続けられている様子が綴られています。この吉廣さんには、今年2月に行われた島根県教委主催の「学校図書館活用教育研修会」でお会いしました。もっともっと話したいという雰囲気だったのに、ゆっくりお話しできなかったのは残念です。
この二つの事例からも、学校図書館が成功するも市内も校長先生をはじめとする管理職の方の「学校図書館に対する理解、理念をどうお持ちかに」かかっていることがはっきりとわかります。
