飽食の時代から粗食の時代に
温暖化の進行は農業生産に大きな影響を与えている。例えば、豪州は小麦生産国であるが、昨年の生産高は旱魃の影響を受け平年の4割高であった。豪州もいずれ食糧輸入国になるといわれている。
お隣、中国も食糧事情は悪い。25年満期で行われていた国連による3500万人分の最貧国食糧援助も2006年に打ち切られた。中国の饅頭は米国産小麦粉で作られている。その米国もエタノールの生産に励んでいるため、トウモロコシ不足で、国際的な穀物価格の高騰、家畜の餌不足を招いている。穀倉地帯も温暖化の影響を受けており、食糧自給率も年々低下している。
日本は米国、豪州から大量の食糧を輸入しているが、将来の保障はない。
今回のギョーザ中毒事件はわが国の食糧自給率の低さをわれわれに再認識させる機会にもなった。
農林省も不測時の食糧安全保障マニュアルをつくっているが、読んで字の如く温暖化の影響を加味したものではない。
人口増加、淡水不足、異常気象等によって、近い将来、世界的な食糧危機が来る。海外から食糧の輸入が止まった時、世界一贅沢な食生活を営んでいるわれわれにどのような変化が起こるのか「不測時の食糧安全保障マニュアル」をもとに考えてみよう。
ここでは最も厳しいレベル2を取り上げる。レベル2は、穀物・大豆及び関連製品の大幅な減少で1人1日あたりの供給熱量が2000kcal以下になると予想される場合である。
レベル2に相当する1日の摂取カロリーを2020キロカロリー(参考:1954年1958kcal/日・人、1955年2217kcal/日・人)とすると、食事の内容は下記のようになる。
【朝食】茶碗1杯のご飯と蒸かしじゃが芋2個とぬか漬け1皿。
【昼食】さつま芋2本、じゃが芋1個、りんご1/4。
【夕飯】茶碗1杯のご飯、さつま芋1本、焼き魚1切れ。
これに加えて、いくつかの食糧が供給される。例えば、味噌汁は2日に1杯といった具合である。
飽食の時代を経験した人間が1955年代の食事になれるのは大変である。精神的にも辛い。私は禁煙4ヶ月が過ぎたが、いまだにタバコの味が忘れられない。機会があれば吸いたい。食に対する欲望はもっとすごいだろう。しかし、飽食に別れを告げる時がすぐそばまで来ている。