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2008年12月 アーカイブ

2008年12月 5日

ワークライフバランスの講演会に出席して

先日、日本女子大教授大沢真知子先生の「ワークライフシナジーという提案」と題する講演を聞いた。講師の12年間にわたる米国留学生活を通してワークライフバランスの大切さに気付いて行く過程を赤裸々に語られたものであり、示唆に富んだ内容の講演であった。

ワークライフバランスとは、「会社の一部としての個人」に代わって、仕事、自分(健康・自己啓発)、人間関係(家族・友人)、社会貢献の4の領域(輪)をその時々の状況に応じてある領域を広げたり、縮小したりしながら4つの輪を最終的にはバランスさせることである。いま、ワークライフバランスに関心がもたれているのは、社会の複雑化によって、バランス感覚を持って仕事に取り組まないと心も身体も壊れやすいからである。講師はワークライフバランスをストレスマネジメントとも呼んでいた。

それでは、ワークライフバランスの導入によって、どの様なメリットが生まれるのであろうか。それを示す一例として、イギリスDTI(貿易産業省の調査結果)が紹介された。これによると従業員の50%がハッピーになったと答えている。一方、人を雇う側では職場でのパフォーマンスの向上をあげたものが21%。従業員の定着率の増加につながったとする企業が38%、よい人材の採用に役立ったと答えているのが4%。イギリスでは労使ともにワークライフバランスの導入に満足していると思われる。その他、多数のデータ等を用いて懇切丁寧にワークライフバランスの必要性を説いている。

講演の中で、がむしゃらに働くことが、仕事の効率を上ることではないと繰り返し強調されていた。同じようなことをフィギュアスケートの浅田真央選手がNHK杯優勝インタビューで語っている。「今まで一日8時間ぐらい練習していたが、新しいコーチのもとでは3~4時間になった。最初は不安だったが、その時間的余裕が今日の優勝につながる何かを生み出したと思っている」と語っていた。

上述の如く、実生活にワークライフバランスを導入することは大切であるが、その実現は厳しい。ノー残業日が制度化されている企業は20%以下にすぎない。半数以上は関心がない。霞が関で働く人の仕事量はどんどん増えている。人事院も中央官庁に勤務する国家公務員の超過勤務上限を月30時間から60時間に見直す方針を固めたと新聞は伝えている〈時事通信08年11月30日付〉。
その一方で、米国発の金融危機の影響で製造業を中心とする企業で残業が減り、時間的余裕は生まれても、収入減が家計に大きな影響を与え始めた。さらに、深刻な問題は、非正規社員の雇用の問題である。

確かに、これらの要素はワークライフバランス社会の実現を遠ざけるかもしれないが、諦めずに、その実現に向けて努力していくことが必要である。

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