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2009年9月 アーカイブ

2009年9月 4日

再度石油ピークを考える

2009年8月4日付け朝日新聞は、国際エネルギー機関(IEA)の話として、世界の75%の油田が既に生産のピークを過ぎた。その結果、5年以内に石油の生産量が需要を満たすことが出来なくなり、世界経済に大きな影響を与える可能性が高くなったと報じた。
石油ピークについては、以前から論じられてきたが、一般の人には、なかなか信じられない話題である。

石油時代の幕開けは1914年に起きた第1次世界大戦と言われている。この時、初めて戦場に戦車、飛行機が登場した。そのため大量の石油を必要としたが、すでに1859年、米国で油井の機械掘が成功していた。そして、1883年にガソリンエンジン(ダイムラー・ベンツ)が出現した。

ガソリンの原料である石油(原油)は非常に便利な物質であるが、この代替品はない。石油から各種燃料と繊維、肥料等の化学原料を作っている。石油から作った肥料、農薬等によって、65億人を養う食糧を確保してきた。一方、飛行機・自動車の燃料も石油であり、石油がなくなれば、飛行機を飛ばすことも自動車を動かすこともできなくなる。

これまで石油を贅沢に使い、便利な社会を築いてきた。しかし、気がつくと深刻な地球環境問題に直面していた。そしてさらに悪いことに、石油ピークが来た。

石油生産量の減少とともに島国日本は大きく変わる。人の往来、ものの流通がとまる。その結果、好まざる鎖国時代が到来する。すべての問題を国内で解決していかなければならなくなるが、中でも食の問題が深刻化する。自分の食べるものは自分で作る。そのため、農業の役割はますます重要になるが、長年、農業を軽視してきたこともあって、多数の休耕地が放置されたままに置かれており、すぐに食糧生産に取り掛かれない。土地があっても食糧はできない。来るべき日に備えて現在の食糧自給率41%を少しでも高めるために、水の供給路を含め農地の整備を早急に進めておく必要があるだろう。
歴史は、イースター島等多くの文明崩壊の例が示すように、その国の資源を使いきった時、国を築いてきた華やかな文明も突如として崩壊することを語っている。
石油を考えた場合も同じであろう。われわれが石油文明の時代に生きた最後の人間に成らないように願っている。

講演:「カレン族の焼畑農法」を聞いて

先日都内で開催された講演会に行った。正式の演題は「タイ北部で焼畑農法を営む少数民族の知恵:商業エネルギーを使わないカレン族の焼畑循環農法とその生活」と長い。
講師は以前和光大学で教鞭をとられていたトニー・ボーイズさん。ボーイズさんは1年以上にわたりタイ北部(チェンマイ付近)のカレン族の生活、焼畑農法について現地調査を行った。
カレン族がタイ北部の地にどこから移り住んだかは分かっていない。文字を持つようになったのも比較的新しく、母系社会である。畑を焼き、種を植える一連の作業・管理は非常に難しい。この仕事は、男性よりも女性が適していることからいつの間にか母系社会が生まれたと言われている。山の斜面に造った畑は最低6年間隔で循環していく。したがって、1家族6箇所の畑を持っているが、畑には使用権はあっても所有権はない。
畑を焼くためには準備が必要だ。伐採した樹木で畑の周りを囲い、最初に斜面の一番高いところを一定面積焼く。そのあと畑の下から火をつけ、斜面を上方に向かって焼いて行く。このようにすると延焼を防ぐことが出来る。しかし、世界的な傾向と同じく、耕地がやせ、最近収穫量が減少してきているとのことである。なお、囲いに使った樹木は3年間、そのまま寝かせ、薪にしている。
カレン族の社会は、タイ社会と隔絶されているわけではない。しかし、カレン族は昔の生活を維持し、エネルギーの多くを太陽に依存した社会を作っている。講演で映し出された色鮮やかな衣装を身にまっとった人たち、料理の種類も多く、われわれの現代社会とは違った豊かさを持った民族だと感じた。講演を聞きながら、ふとチェンマイ大学に行った時に食べた物、像に乗って山を散策したことなどを思い出した。
もし、地球上から化石燃料がなくなると、使いたくても使えない自動車、多くの工業製品等がごみとして捨てられるだろう。そこは、まさしく映画のロボット「ウォーリー君」がえがく世界だ。それに対し、カレン族の生活には大きな変化は起こらないだろう。
今回もまた、エネルギーのありがたさ、上手な使い方の大切さについて考えを深めることができた。

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