よく知られているように、ヒルベルトがユークリッドの公理系以外にも公理系を作ることが出来ることを証明して以来、公理的方法は急速に拡がった。これは、理論研究にとって、きわめて有効性のある強力な方法だからである。
公理的方法についてはさまざまな言い方がなされるが、次のような手順を踏むといってよいであろう。
1.いくつかの無定義語と用いる記号を用意する。
2.命題の式を作るための形成規則を定める。
3.公理を定める。
4.式の変形規則や推論規則を定める。
5.3と4を用いて定理を導出する。
(必要に応じて新しい用語を導入する。)
定理は公理の内包するものを取り出した命題であり、それは公理にさまざまな条件、定義語、新たな概念などを加えて、推論を行うことによって導出できる。
そこで問題となるのが、形成規則、変形規則、推論規則であろう。もし論理を追う命題計算を行うのであれば記号論理学、集合論を用いて命題を立てた場合には集合演算法、それらを基盤とする数学などを用いればよく、そのほか、必要に応じて道具を作ればよい。われわれは関係計算を行う必要から、関係計算法を作って用いている。
公理的方法では複雑な社会事象を解明できないとして、記述的な研究に戻ろうとする人達もいるが、問題は推論方法にあろう。従来の推論は二値論理や数学を用いて行われてきたが、たしかにそれでは限界がある。たとえば、さまざまな事象のうち、数学的な方法で解明できるのはせいぜい1〜2割といわれている。
しかし、最近は多値論理が発達してきて、それを用いることができるようになった。非単調論理、ファジイ論理などもその一種である。また、定性的推論への取り組みも始まっている。推論方法が発達して、豊富になれば、公理的方法は社会事象の理論的研究でも有効性を発揮でき、きわめて魅力的な研究方法である。