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2008年5月 アーカイブ

2008年5月 6日

学長情報シリーズ11・eラーニングによる知識・技術の習得 ― 本学の教育の理念から

本学の教育の理念の解説には、「eラーニングによって知識・技術を習得し、資質・能力を養うが、その中には、社会人としての基礎力を養うことも含まれる」とあります。どうしたら資質・能力を伸ばすことが出来るかということは、誰しも知りたいところです。

 日頃から、人間性を深めたり、力をつけたりして仕事や日々の生活を充実させたいと思っている人は多いのではないでしょうか。しかし、どうしたら力がつくのかわからないという人もけっこういると思います。そのことを他人に尋ねると、勉強するしかないよといわれて、がっかりした経験のある人も多いのではないでしょうか。
 今、経験といいましたが、経験という観点から見ると、人間は知識・技術の吸収を含めて毎日新たな経験をし、その経験をこれまでに蓄積してきた経験に結びつけて蓄積し、それを活用して、生活をし、仕事をしています。80歳になっても10代に身につけた技術を覚えていて、再びそれを取り出し、さびついたといって、新しい技術を加えて使うかも知れません。じつは、それも蓄積された経験なのです。
 蓄積された経験に、次の経験を結びつけて新たな経験の蓄積をつくる。その蓄積が大きければ大きいほど、それを活用するといろいろな事に対応できます。多くの場合、そういう活用が出来ることを能力があるといっているにすぎません。したがって能力を伸ばすためには、少しでも多くの経験をし、それを活用できるようにした方がよいのです。しかし、われわれは住んでいる場所が決まっていて、仕事や生活もあります。自ずと時空の制約を受けていて、なかなか思うように豊かな経験をすることが出来ません。
 そこで、勉強(間接経験)をしようということになり、大学に入っていろいろな人と交流をしよう(直接経験)ということになるのですが、通学制ですと自ずと限界があります。しかし、本学のようなインターネット・ライブ配信のスクーリングですと、学生さんは全国さらには海外にもいて、いろいろなところから授業に参加してきます。
 基礎的なことは抽象的で身につけにくいことが多いと思いますが、それを授業の中でそれぞれの経験に結びつけて、具体的にはこういうことかと考えていくと、理解は早いし、忘れません。今春の卒業生を見ると、よくもここまで伸びたと感心する人が多いのですが、そういう人達に話を聞くと、スクーリング授業で多くの人と話し合えてよかったという声が返ってきます。
 社会人の場合、知識・技術の習得は、経験に結びつけると効率が上がります。どうぞ、eラーニングをうまく活用してください。

2008年5月 7日

学長情報シリーズ12・個人や社会の課題を発見・解決する能力の育成 ― 本学の教育の理念から

本学の教育の理念には、「個人や社会の学習の課題を発見・解決する能力を養う」ということが入っています。今は、どこでも課題発見・解決能力のある人を求めています。

 本学の教育の理念の「解説」を見ると、個人や社会」という場合の「個人」には乳幼児から高齢者までのすべてが含まれ、「社会」には企業、地域社会も含まれる、とあります。また、「学習の課題」には、学習をする側の課題だけではなく、学習を支援する側の課題も含まれるとありますが、学習を支援する側には、家庭教育・企業教育・社会教育だけではなく、その他の幅広い生涯学習支援も含まれる、とあります。
 人々の行う生涯学習にはありとあらゆる学習が入ってきます。また、生涯学習支援はそのような生涯学習を支援するのですから、家庭教育、学校教育、社会教育、企業教育などの教育の他に、個人で行う学習への支援など、ありとあらゆる学習支援が入ってくるわけです。
 それを聞くと、われわれはとてもそのように幅の広い生涯学習や生涯学習支援の課題を解決する能力など身につけられないと思ってしまいますが、そうではありません。何でもそうでしょうが、課題は次々と生じて無限にあります。そのすべてに対応することは不可能ですから、課題を追いかけるのではなく、もやもやしている状況の中で課題をしっかりと見極め、発見する方法、その課題を解決する方法を身につけていけばよいのです。
 素人レベルで課題を考え、解決しようとしても、素人レベルの答しか出てきませんから、うまくいかないことが多いと思います。そこで、長い歴史の中で先人達が作り上げてくれた方法を身につけようというわけです。本学の学生さんは企業に勤めている人が多いせいか、計画法とか企業で使う問題解決技法を身につけていて人がかなりいます。
 昨年の「生涯学習支援システム・ネットワーク」の授業で、生涯学習支援ネットワーク・モデルの話をしていましたら、それを手がかりに勤務先の長年の問題を解決するネットワーク・モデルを作った学生さんがいました。とてもよいアイディアなので、皆さんがすごいといって、感嘆しきりでした。
 19世紀の学問の世界は、1つの研究対象に1つの研究方法を確立して初めて学問として市民権が得られるような状態でした。しかし、学問が発達し、複雑な問題の解明に挑戦するようになると、とてもそのようなことはいっていられなくなり、今は研究対象さえはっきりしていれば、研究方法は何を使ってもよいというように、「研究方法の自由」の時代になりました。
 いろいろな領域の思考法や研究法を知っていれば、課題解決に役立ちます。
 最近はコンピュータが発達したため、演繹法(deduction)、帰納法(induction)の他に発見法(abduction、仮説を思いつく推理)が急速に発達したり、理論研究、実証研究の他に計算研究が発達したりしてきました。そういうことや、公理的方法、原因-結果、目的-手段といった研究の仕方、非単調論理のような推論法などをある程度理解して、改めて問題解決技法、計画法などを眺めて見ますと、それらがどういう性格のものかがよくわかります。そうしますと、それらの上手な使い方も自ずとわかってきて、課題解決力も伸びていくと思います。
 大学にいる間に、そういう力をつけていきますと、やはり大学に入ってよかったということになるのではないでしょうか。

2008年5月 9日

学長情報シリーズ13・新たな道を拓くことのできる資質・能力の育成・向上― 本学の教育の理念から

本学の教育の理念には、「新たな道を拓くことのできる資質・能力を養い、高める」とあり、教育の理念の「解説」をみると、この能力は創造力のこととされています。創造的な人間になるというのは、われわれの夢であり、あこがれではないでしようか。

 教育の理念の「解説」を見ると、

生涯学習は、これからますます流動化する社会を生き抜くためのパスポートになるといわれている。そのため、人々が必要とする学習は多様になり、キャリア・アップのための生涯学習支援、家庭教育、企業教育、社会教育は、それらに対応すべく、つねに新たな道を拓いていかなければならない。そのような新たな道を拓く資質・能力は、具体的には創造力である。

といわれています。
 創造に関して、創造性の研究などでいわれてきたことは、創造には3のタイプがある、ということでした。

第1は、同じものを繰り返し作ることは、ものを作るという意味で創造です。
 ― しかしわれわれが今ここで関心を寄せているのは、そういう創造ではありません。
第2は、ひらめきによって新しい考え方を打ちだしたり、ものを作ったりする創造です。
 ― これは天才的な人しかできませんので、われわれには縁遠い創造です。
第3は、論理の筋道をたどって新しい結果を生み出すという創造です。
 ― これは論理的な推論法を身につければできるので、創造力の育成でよく推奨されています。

 しかし、それよりもっと簡単に誰にでもできる創造があります。それは、関係変換による創造です。
 具体的な例をあげてみます。
 どこでお話ししてもうけるが“あんパン”なのですが、これは、明治8年、東京・銀座の木村屋さんが創製したものです。あん(餡)というのは昔から日本にありました。新たに西洋からパンが入ってきた。しかし、あんとパンをただ並べただけでは売れません。そこでパンの中にあんを入れる、包み込むというような工夫をしてあんパンにしたら、売れました。
 これは関係の組み換え(関係変換)です。ここでは、関係を組合せ、順序、結合、包含で捉えることにしてみます。あんとパンをただ並べただけというのは、そこに組合せという関係があるにすぎません。パンの中にあんを入れる、というのはその組合せ関係をパンがあんを包み込むという包含関係に変えたのです。これは関係変換による創造の例です。
 いろいろなものごとの間には必ず関係があります。ものごとがあれば関係は必ず存在しますが、目で見ることができません。そのため、アリストテレスは実体を重視し、関係を2の次にしてしまいました。それ以来、関係は軽視され、近代になりようやく関数概念が発達してきた次第です。
 しかし、多くの事象は関数関係でうまく捉えることができません。そこで、関係を組合せ、順序、結合、包含の4つで捉えることにしてみました。この4つに縛りというものを加えて11程度の記号を作りますと、それらを使って180億以上の関係を表すことができます。
 記号化した方がわかりやすい人は、組合せを井戸の「井」、順序を工程の「工」、結合を漢字の「中」、包含を大小を表す記号の「<」に置き換えてみると考えやすいと思います。
 先のあんパンの例は、次のようになります。
   (パン井あん)→(パン<あん)⇒ アンパン
 創意・工夫には、このような関係変換がよくあります。そこに着目して勉強したり、道を拓こうと努力したりしていると、いつの間にか、これまでにない創造力が身についていくように思います。

2008年5月19日

学長情報シリーズ14・課題レポートと自己評価

テキスト科目の課題レポートの提出が始まっています。この春に入学したばかりの人からは、大変だという声が聞こえてきます。しかし、先輩の皆さんもそうだったのですから、どうぞ頑張ってください。

 レポートを書き慣れている人もいますが、こんなに多くのレポートを書くのは初めてで、うまく書けないという人もかなりいると思います。中には、自分は駄目だと諦めてしまう人もいますが、最初からうまくいかないことが多いのは当たり前で、ほとんどの人が同じ状態にいる、と思うと気が楽になります。
 今は社会のあちこちで劣化が目立ち、力のある人材を求めるところが増えています。この際、たとえ大変でもレポートを書くことで、社会の要望に応えられるような力をつけていってはどうでしょうか。
 本学の授業料は1科目毎に払います。これだけの授業料を払っているのですから、レポートも、ただ単位が取れればよいというだけで書くのでは勿体ないと思います。
 レポートを書くことで力をつける方法はいろいろありますが、課題が出ている場合には、自己評価を導入すると効果があります。科目によっては、レポート提出の際に、自己評価を行ってくださいといって、側面から援助してくれる先生もいます。
 成人の学習では自己評価が有効ですので、自己評価の観点を予め決めておき、レポートを書き終わったら自己評価を行います。観点は少なくてかまいません。たとえば、「出題のねらいをよく理解して書けたか」「教科書や資料をうまく使いこなせたか」「きちんと論理展開ができたか」といったことだけでも、自己評価をしてメモしておくと、その後の勉強の仕方がガラッと変わってきます。自己評価の観点は自分で工夫して作ります。

 大学に入って1ヶ月経った今頃が一番きついので、これまでも「今が頑張りどころ」といい続けてきました。今年も同じメッセージを送りたいと思います。

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