本学の教育の理念には、「新たな道を拓くことのできる資質・能力を養い、高める」とあり、教育の理念の「解説」をみると、この能力は創造力のこととされています。創造的な人間になるというのは、われわれの夢であり、あこがれではないでしようか。
教育の理念の「解説」を見ると、
生涯学習は、これからますます流動化する社会を生き抜くためのパスポートになるといわれている。そのため、人々が必要とする学習は多様になり、キャリア・アップのための生涯学習支援、家庭教育、企業教育、社会教育は、それらに対応すべく、つねに新たな道を拓いていかなければならない。そのような新たな道を拓く資質・能力は、具体的には創造力である。
といわれています。
創造に関して、創造性の研究などでいわれてきたことは、創造には3のタイプがある、ということでした。
第1は、同じものを繰り返し作ることは、ものを作るという意味で創造です。
― しかしわれわれが今ここで関心を寄せているのは、そういう創造ではありません。
第2は、ひらめきによって新しい考え方を打ちだしたり、ものを作ったりする創造です。
― これは天才的な人しかできませんので、われわれには縁遠い創造です。
第3は、論理の筋道をたどって新しい結果を生み出すという創造です。
― これは論理的な推論法を身につければできるので、創造力の育成でよく推奨されています。
しかし、それよりもっと簡単に誰にでもできる創造があります。それは、関係変換による創造です。
具体的な例をあげてみます。
どこでお話ししてもうけるが“あんパン”なのですが、これは、明治8年、東京・銀座の木村屋さんが創製したものです。あん(餡)というのは昔から日本にありました。新たに西洋からパンが入ってきた。しかし、あんとパンをただ並べただけでは売れません。そこでパンの中にあんを入れる、包み込むというような工夫をしてあんパンにしたら、売れました。
これは関係の組み換え(関係変換)です。ここでは、関係を組合せ、順序、結合、包含で捉えることにしてみます。あんとパンをただ並べただけというのは、そこに組合せという関係があるにすぎません。パンの中にあんを入れる、というのはその組合せ関係をパンがあんを包み込むという包含関係に変えたのです。これは関係変換による創造の例です。
いろいろなものごとの間には必ず関係があります。ものごとがあれば関係は必ず存在しますが、目で見ることができません。そのため、アリストテレスは実体を重視し、関係を2の次にしてしまいました。それ以来、関係は軽視され、近代になりようやく関数概念が発達してきた次第です。
しかし、多くの事象は関数関係でうまく捉えることができません。そこで、関係を組合せ、順序、結合、包含の4つで捉えることにしてみました。この4つに縛りというものを加えて11程度の記号を作りますと、それらを使って180億以上の関係を表すことができます。
記号化した方がわかりやすい人は、組合せを井戸の「井」、順序を工程の「工」、結合を漢字の「中」、包含を大小を表す記号の「<」に置き換えてみると考えやすいと思います。
先のあんパンの例は、次のようになります。
(パン井あん)→(パン<あん)⇒ アンパン
創意・工夫には、このような関係変換がよくあります。そこに着目して勉強したり、道を拓こうと努力したりしていると、いつの間にか、これまでにない創造力が身についていくように思います。